親鸞会は漫画を使った布教活動も行なっている

親鸞会の漫画布教が話題に

浄土真宗の親鸞会は親鸞の思想と、その元になった仏教の思想を布教する団体です。親鸞は鎌倉時代の仏教家で、浄土真宗の開祖として知られます。浄土真宗は日本の最大宗派です。さて、親鸞会は公式ホームページを持っていますが、そのなかで漫画を掲載したことで話題になりました。

「真宗講座」と題された漫画は、浄土真宗の教えをわかりやすく伝えています。日常漫画に登場するような親しみを持てるキャラクターたちが登場し、そのなかで迷海というお坊さんに出会います。迷海は若い人の疑問や関心に浄土真宗や親鸞の立場から応えるという漫画です。

例えば「あなたは善人?悪人?」という漫画の回があります。これはもちろん親鸞の悪人正機説をテーマにしています。悪人正機説とは、悪人こそが救われるという少し変わった思想です。悪いことをした人は地獄に行き、善いことをした人は天国に行くと普通考えられますが、親鸞はそもそも世界に善人などいないのではないかと考え、それならばと悪人正機説にたどり着きました。こうした難しい哲学的なテーマを漫画でわかりやすく伝えています。

親鸞会が漫画を布教に活用した理由

そもそも親鸞会はなぜ漫画を布教の教材にしているのでしょうか。宗教というと敷居が高いイメージがあります。しかし、浄土真宗はその思想の根幹から大衆に開かれたものです。開祖の親鸞は法然という師匠を持っていました。法然は仏教家としてのエリートの道から自ら外れて、大衆と寄り添った思想家と言われています。

親鸞は法然の思想を受け継いでおり、さらにその教えを拡張したような仏教家です。悪人正機説がそうですし、彼は当時タブーだった肉食妻帯も行いました。もちろん法然や親鸞は単に無法者だったのではなく、延暦寺で学んだような当時最高クラスのエリートです。そんな知識や教養のある人間が大衆に降り立ったことが重要といえます。

そのことから考えると、親鸞会が行っている漫画での布教活動は実に教えに忠実なものと言っても過言ではないでしょう。若い人にとってもっとも親しみの持てるメディアが漫画です。漫画を表現媒体にしても親鸞の教えは何ら損なわれません。

まとめ

浄土真宗の親鸞会という歴史のある団体が漫画を布教の教材にしたことは驚かれましたが、親鸞の経歴やその教えから考えるとむしろ自然であることが分かったでしょう。もし、現代に親鸞が生きていたら漫画という新しいメディアに関心を示したはずです。

漫画を題材にしたことは、若い人にも浄土真宗の考え方を伝えるという意味でも有益です。漫画は定期的に更新されているため、興味がある人はぜひホームページを覗いてみてください。